氷河特急、最も遅い特急列車とも言われています。でもスイスに興味のある方は、この列車に乗ってみたいと思う人は少なくないでしょう。何しろ始発から終点まで280キロメートルを8時間もかけて走るのです。日本の新幹線だと東京・豊橋間が293.6キロメートル。ひかりを利用するとたったの1時間25分。
でも急ぐ旅ではありません。わくわくするような夢があります。何しろ山岳列車の醍醐味を堪能して終着のツェルマット駅では、マッターホルンにお目にかかるのですから。
10:41に始発駅を発車した氷河特急が、お昼にクール駅に到着しました。早速、機関車の入れ替えや客車を増結して12:27発車。
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私たちのお隣のカップルは、ドイツ人(?)の前期高齢者夫婦(つまり私たちと同世代)。英語はしゃべらない、ドイツ語だけ。私たちは日本語とたまに英語。でも私たちはすぐに仲良くできました。発車まもなくランチが運ばれてきて、まずは腹ごしらえ。それから通路を挟んでのお隣は、若い女性二人づれの日本人で、北海道から来たという。職場のお友達だそうです。そんなことで、楽しい列車の旅の始まり。
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ライン川の源流
川が見えてきました。ライン川の渓谷をさかのぼって行くのです。急流です。ライン川と言うとヨーロッパ大陸を流れるかの有名な大河なのか半信半疑でした。まさしくライン川の源流なのです。峠近くのトーマ湖から流れ出る水がドイツとフランスの国境を流れ、ドイツを縦断しオランダのアルステルダムから北海に流れ出る全長1200キロあまりのあの大河なのです。
NOBURINがオランダのアムンヘルという町に滞在したことがあります。ホテルの前をライン川が流れており、大きな はしけ が上り下りしているのを眺めたことを覚えています。今回はその源流を行くことになるのです。
オランダ アムンヘルを流れるライン川
やがて渓谷をぬけると、かつては森林原野であったであろう山の斜面に緑の牧草地が広がってきます。スイス人は勤勉で、斜面に転がる無数の石や岩を取り除いて少しずつ まきば にしたのだといいます。この美しい風景も一朝一夕にできたのではなく、中世の時代から何世紀にもかけて作り上げてきた人のなせる技かと、思いを馳せるのです。
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沿線の まきば や村、町のどこここにも教会の尖塔が見えます。日本の寺よりもずっと多いかもしれません。ここで働く農夫が朝夕教会の鐘の音を聞いて感謝の祈りを捧げたことでしょう。
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私たちはクールから終点ツェルマットまで約200キロメートル。5時間の旅です。列車が走る最高標高の峠は2,033メートル。NOBURINの住む菰野町にある御在所山は1,212メートルだからもっと高い山を氷河特急は駆けて行くことになります。峠も近くなると氷河が見えてきます。
峠を越えるとアンデルマットの村。サウンド・オブ・ミュージック でこの峠の村も舞台に登場したのではないかな?ここから流れる川は、スイスとフランスを分けるレマン湖へ行きます。駅には無数のヤナギランが咲いていました。私たちが企画して行った最初の海外旅行 アラスカの大地にもこのヤナギランが至る所に咲いていたのです。なつかしく思い出します。
ここまでがクールから終着駅ツェルマットまでの約半分の行程。さらに上り下りを繰り返して終点には18:31に到着だ。
チューリッヒ空港駅で預けたファーストバゲッジのスーツケースはきちんと駅の構内に二つ並んで私たちを待っていてくれました。改めてスイス国鉄の観光客へのサービスの良さに感心したのです。そして、駅のすぐ近くに予約をしていた小さなホテルというか B&Bというか Hotel Cima の門に立ちますと、なんと目前に巨人 マッターホルンがどっしりと構えていたのです。
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これはスイスパス。つまりこのチケットを持っていればスイス中どこでもすべての国鉄、私鉄、バス、定期船、路面電車など公共交通機関を利用することができます。これで、その都度切符買う必要はない。スイスパスの種類もいくつかあって、私たちは旅行中、2人で4日間利用できるスイスパスを買いました。お値段は手数料を含めて550スイスフラン、日本円で約47,300円。さらなるメリットは登山電車やロープウェーの切符を買うときこのスイスパスを提示すると50パーセント割引になるのです。例えば、マッターホルンに最も近い展望台まで行くロープウェー往復料金は日本円で1人約8,400円。その50%割引はお値打ちです。 氷河鉄道もスイスパスをもちろん利用するのだけども、人気の列車で座席指定の予約をしないとシーズン中は乗車できない。それで、2人分手数料金を含めてクールからツェルマットまで座席指定7,396円。お昼のランチも2人同額7,396円。 これで、時間さえ許せば特急でも急行でも利用してスイスの果てから果てまで旅できると言うことです。ただし、私たちの場合は1ヶ月の間に4日間だけです。
この写真はNOBURINがクールの駅前に立っているところ。どこの駅でも同じですが、駅前広場から直接駅のホームに入れるのです。つまり、改札口というものがありません。チューリッヒのような大きな駅でも、ツェルマットやグリンデルワルトのような小さな駅でもシステムはいっしょ。それで列車に乗るとすぐに車掌がやってきて切符を改めます。一度見せたら乗り換えるまで車掌は来ません。でも、新たに乗車した人のところには検札に来ます。前から乗っている人と、後から乗り込んできた人をよく記憶しているものです。それがプロと言うことでしょうか!もし無賃乗車が見つかると有無を言わせず罰金だと言うことでした。
”Online timetable” http://fahrplan.sbb.ch/bin/query.exe/dn
上のアドレスでスイス国鉄の「オンラインタイムテーブル」を検索すると、 ①出発地 ②目的地 ③経由地 ④旅行日 ⑤時間 を入力すると希望時間前後の数本の電車を紹介してくれます。国鉄に限らず私鉄、登山電車、バス等々の発車時間、到着時間をたちどころに知らせてくれるのです。乗り場のプラットホームの何番線かまでも分かります。日本でもJRなどいい検索システムがあろうかと思うのですが、今回スイス国鉄「オンラインタイムテーブル」をよく利用しました。