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悪役1号
タスカモデリズモ 1/72
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悪役1号は、大日本絵画刊「宮崎駿の雑想ノート」第3話「多砲塔の出番」に登場する多砲塔戦車です。
170mm加農砲、230mm噴射砲をはじめ、多数の小砲塔を装備し、全備重量200t、出力100HP×2、最大速力28km/hの性能を誇る、言わば「動く要塞」です(以上、ボックスサイドの説明文より)。
この車両については、私もこれ以上の説明ができませんので、興味がおありの方は各自調べていただくとしまして、以下、このキットを作ることになったきっかけと言うか、経緯について話してみたいと思います。
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依頼があったのは、本年4月の中頃、依頼者は従兄弟(カミさんの兄貴で同学年ですが非モデラー)。
完成品がぜひとも見てみたいので作ってほしい、との事でした。しかも期限付きです。
ちょうどその頃、私は展示会に向けてシトロエン他1点の製作中で、「冗談じゃねーよ、1ヶ月やそこらで戦車なんか作れるか」と思ったんですが、従兄弟のたっての頼みという事もあって、
期限は守れるかどうか正直微妙でしたが、とりあえず受けることにしました。
しかし、2CV(二馬力)作ってたらこんなの作ることになるなんて、なんか因縁めいたものを感じます、ってただの偶然だと思いますけど。
報酬は、このキット以外に従兄弟がストックしていた積みプラ数点・・・なんですが、車のプラモは一つもありません。
あと、必要な塗料とかの追加費用はその都度請求していいとの事で、それじゃ遠慮なく、と量販店で買い揃えました。
そんな訳で、従兄弟の住むマンションにキットを取りに行き、帰ってすぐに製作に着手。キットは、企画開発がタスカモデリズモ、発売元はプラッツと言う会社。プラッツはともかくタスカモデリズモなんてメーカー、初めて聞くんですけど、
普通ならここでググったりして調べるところなんですが、今回はさすがにそんなことをしている余裕はありませんでした。
現代の戦車では考えられない転輪の数に辟易しつつ、組み立てを始めてみるとパーツの合いも良好で、これが意外にも作りやすい(何せパーツ数が多いんで、簡単とは言いませんけど)。
組立説明書も、タミヤと同等かそれ以上の懇切丁寧さ。「合わせ目を消すとパーツがスムーズに動く」みたいな事がいちいち書かれていまして、何としても完成してもらいたいという強い意志すら感じます。
それで、組み立てはまあまあスムーズに進んだんですが、問題は塗装でした。地の色はクレオスのダークイエローをスプレー吹きしたんですが、御覧のとおりこの車輌、
車体全体にダークアースの迷彩が施されていまして、そのパターンがまた細かいのなんの。まあこれはエアブラシを使用しないといけないんですけど、私が持っているのはタミヤのスプレーワーク(現ベーコン)。
細吹きと言っても結構な太さで、どこまで塗り分けができるのか、やってみないと分かりません。
いっその事クレオスのL5とダブルアクションのエアブラシをセットで購入して依頼主に請求してやろうかとも思いましたが、そんな厚かましい事ができるわけもなく、
それに、そんな物買っていきなり使ったところで私の塗装技術ではきれいに仕上がるとは思えません。
結局、塗料の出る量を限界まで絞り、何回か練習してから吹きましたがやっぱりパターンは当初の想定から若干荒いというか、大きくなってしまいました。
とまあ、やっとのことで形にはなりましたが、ここまでやっといて工場ロールアウト状態のままってのもどうかと思いまして、足回りを中心に汚しを入れました。使用したのはクレオスのウェザリングカラーとペースト。車両全体もウェザリングカラーでウォッシングして、一部タミヤのウェザリングマスターで汚しを入れました。
前述の通り、事前に買って用意した物です。いやー、最近は便利な物が色々あるんですね。
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期限も迫ってるんで急いで納品を、と思ったんですが、都合が合わずに直接手渡すことができず、
カミさん経由で画像を送ったら喜んでたらしくてひと安心。
そんな感じで非常ににタイトなスケジュールを縫ってなんとか完成に漕ぎ着けまして、締め切りにもギリギリ間に合いました。その後フィギュア3体も塗装してひとまず作業は終了しました。
従兄弟は、同年代で決して仲が悪い訳じゃないんですが趣味嗜好が私とビミョーに違っておりまして(乗ってる車も、こっちが三菱党なら向こうはスバリストっていう…万事そんな感じ)、
趣味の話はあんまりすることがなかったんですが、やっと最後に接点を持つことができました。
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で、後日。カミさんが言うには、「兄ちゃん、本当はレッドミラージュも作ってほしかったんだって」だと。そーいや、もらったキットの中にあったよな...って中身を見て再び戦慄。無茶言うなよ、自慢じゃないがこちとらガンプラもマトモに作った事ないんだぞ。
とはいえ作らない人からしたら、モデラーだからプラモデルなら何でも作るだろ、と思われてるんだろうけど、んな訳ねーだろと本人に突っ込んでやれないのが辛いところです。
まあとにかく、これは来年までには何とかしようかとは思ってるんで、とりあえずサボイア(これももらったキットの中にあった)作っとくから初盆はそれに乗って帰ってくるように(向こうに戻る時はこの悪役1号で)。
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