バブル景気もまっただ中の1989年10月、セドリック/グロリア・シーマの大ヒットですっかり勢いのついていた日産が、それまでの日本の高級車路線の枠にとどまらず、世界の高級車と肩を並べるべく、満を持して発表したのがインフィニティQ45でした。
同時期、同じココロザシを持って発表された車にトヨタのセルシオがあるわけですが、セルシオが間違いなく世界を見据えていたのに対し、インフィニティが見ていたのは、あくまでも「日本」でした。
日本車としてのアイデンティティをすっきりと、なおかつ力強いデザインでわかりやすく世界にアピールしているセルシオに対し、インフィニティは非常にアクの強いデザインで、更に蒔絵や七宝焼きなど、日本の伝統工芸からインスパイアされた技術をふんだんに投入し、日本のクルマであることを強く主張しています(今回は横文字多いなー。意味分かってんだろうな?)。
当時、クルマ雑誌の企画モノのページで、流行りのクルマに乗る人のイメージ、というのがイラストで紹介されてまして、インフィニティはズバリ、「京都の老舗呉服屋の若旦那」。もう、ハマリ過ぎて笑いました。
このように全く性格は違えど、ライバルとして同列に扱われることの多かった両車でしたが、ハンドリングなど動力性能は一級であったにもかかわらず販売面ではセルシオに大きく水をあけられる結果となってしまいました。
一番の敗因は何かというと、やはりあのグリルレスのフロントマスクに尽きるんじゃないかと思うんですけど、そもそもラジエターグリルって、外気を導入するという機能的な役割の他に、そのクルマの個性や、高級感,、重厚感を演出する上で重要なパーツですし、デザイナーもそのあたりは充分わかっているはずです。なのに敢えてそれをしなかったのは何か崇高な考えがあっての事だったんでしょうけど、凡人である私の目にはやはり奇異に映りました。どうせグリルレスにするのならもう少し若々しい顔にした方がいいんじゃないか、と思うんですけど、そういう雰囲気のクルマは作りは、ホンダが得意そうですね。
で、MCで取って付けたようなグリルが装着されましたが時すでに遅し、販売実績の回復には至らなかったようです。
なんだかんだ好き勝手な事を書いてしまいましたが、こういうアバンギャルドなクルマ、私は嫌いじゃありませんよ。
と、言うわけでいい加減キットについて触れることにしましょう。
キットはフジミ製。店頭から消えると無性に欲しくなるといういつもの悪い癖が出てしまい、再販と同時に飛び付いた物です。
ボディのイメージカラーはグレーメタのようですが、なぜか個人的にインフィニティは緑色というイメージがありまして、、グンゼのフォレストグリーンマイカを使用しています(もっと明るい色をイメージしてたんですが・・・まあいいや)。
ホイールは純正品がセットされ、メッキもされていますがテカり方が中途半端で(て言うか塗装でしょ、実車は)、一応ハブのカバーに貼るメッキシールなる物は付属してるんですけど、貼っても厚すぎて肝心の中央のマークの部分が浮き上がってしまいますんで、一度メッキを落としてからフラットアルミを塗装、中央の部分はメタルックを使用してメッキ感を強調しました。
気になって手を入れた部分はそれぐらいですね。後はほぼ素組みです。
全体的にいい雰囲気なんですけど、ボディとシャーシがはめ辛いことこの上ない、て言うかきちんとはまりません。ボディ後部の爪なんか、目で見て分かるぐらいにダンチになってまして、無理にはめると車体が傾いてしまいます。ディテールアップで手を入れるのは楽しいんですけど、こういう所を改修しなきゃならないってのは、なんか不毛で面白くありませんね。
最近はそうでもなくなってきましたが、フジミのキットって、昔から上下のハメ合わせがギチギチなのが多いんですけど、これは私が今まで組んだ中では最強でホント弱りました。あと、完成直前にトラブルに見舞われたり、なかなか手強いキットでした。
と言うわけで罪滅ぼしとして、(アオシマのセンチュリーに対抗して)フルノーマルのプレジデント(Dタイプあるいはソブリン)を出すように。て言うか出してくださいお願いします。
丸目でも角目でもどっちでもいいですから。
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